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外国人整備要員、採用してみました(土居自動車工業編)

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今回は、外国人材のお話です。ブラジル出身のエノモト・ラファエル・ユスケさんは、今年6月から日本で整備要員として働いています。採用企業の担当者にも同席いただき、外国人材採用の実際についてお話を伺いしました。


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会ってみたら好印象 すぐに採用を決めた

深刻化する自動車整備業界における人手不足の問題。この問題の解決策として有効と考えられるのは外部の力を借りること、すなわち『外国人材』を戦力として活用することで、ナルネットコミュニケーションズは昨年から、整備工場における外国人材の戦力化支援に乗り出しています。もっとも、外国人採用の経験を持たない経営者や人事担当者の中には、具体的なイメージが持てずに雇用に消極的な人も多いかもしれません。

そこで今回は、実際に外国人材を雇用した整備工場を訪ね、外国人材採用にまつわる『あれこれ』を聞いてみました。訪れたのは、兵庫県神戸市の土居自動車工業株式会社(以下土居自動車)です。

土居自動車では2021年6月、サンパウロ出身の日系ブラジル人、エノモト・ラファエル・ユスケさん(19歳)を正社員として迎え入れました。採用の理由について、会長の今井勝雄さんは次のように説明します。

 

土居自動車工業株式会社
会長 今井勝雄さん

土居自動車ウェブサイト

 

 

 

「もともとベトナム人の技能実習生を2名受け入れていましたが、今年度いっぱいで3年間の実習期間が終了し、彼らはべトナムに帰国してしまいます。両名ともひじょうに真面目に働いてくれていることもあり、いなくなると業務に支障が出る可能性がありますし、日本人の採用は簡単ではないことから、戦力を補充する目的でエノモトくんを採用しました」(今井さん)

エノモトさんとは、ナルネットコミュニケーションズが業務提携を結んでいる人材派遣会社の株式会社ジャステック(以下ジャステック)からの紹介を通じて知り合いました。

一方のエノモトさんは、4年前の2017年に来日。つい最近まで、愛知県内のコンビニエンスストアでアルバイトとして働いていたそう。土居自動車を紹介され、すぐに応募を決めたと話します。

「自分の日本語能力に自信はありませんでしたが、もともとクルマに興味を持っていて、ぜひクルマにかかわる仕事に就きたいと思っていましたから、応募に迷いはありませんでした」(エノモトさん)

ジャステックの仲介で、両者が面談したのは4月のこと。「ほんの15分ほどの面談で、すぐに採用を決めました」と、今井さんは振り返ります。

「会ってみたら、とにかく好印象でした。面談と言っても、世間話を15分程度しただけ。19歳の若者に、業務経験やスキルを求めるのは酷ですから、ほとんど『人柄』だけで採用を決めたところがあります。印象的だったのは、『人間として、しっかりしているな』と思ったこと。もちろん19歳ですから子どもっぽいところはありますが、日本人の19歳の若者よりも、はるかにしっかりしているなと感じました。それが採用の決め手です」(今井さん)

ラテン系気質ではなく、シャイで真面目

愛知県に住んでいたエノモトさんは、就職を機に土居自動車の拠点である神戸に移り住み、6月から働き始めています。取材当時、仕事をスタートさせてから2か月ほどしか経っていなかったこともあり(取材は8月中に実施)、エノモトさんは『環境に慣れることで精いっぱいの状態』で、刺激的な毎日を過ごしている様子でした。

「自動車整備の仕事を一から教わるだけでなく、仕事に対する心構えや態度などあらゆることを指導してもらっている毎日です。入社して初めて分かったことは、以前の自分がいかに精神的に幼かったかということ。当たり前ですけど、同僚はみんな『大人』で精神的に成熟している人ばかり。みんなと接することで、社会人・職業人としての態度やマナーなどの基本的な素養について学べたと思っています。ここに来てまだ2か月ですが、少しだけ成長できたかなと思っています」(エノモトさん)

『職場環境や処遇に不満を感じることは?』と、あえて意地悪な質問を投げかけてみると、エノモトさんからは力強い口調で「全くありません」という答えが返ってきました。

「僕は外国人ですが、日本に来て日本の会社に入ったわけですから、日本の文化や風習に合わせるのは当たり前だと思っています。最初は『挨拶』や『人との接し方』などに戸惑うこともありましたが、今はもう慣れましたね」(エノモトさん)

一方、迎え入れた土居自動車内において、エノモトさんの評判はすこぶる高いようです。

「ブラジル出身ということもあって、ラテン系気質の持ち主かと思いきや、そんな雰囲気は微塵もなく真面目な性格でした。だからでしょうね、みんなから可愛がられています」(今井さん)

外国人が日本で働くうえでネックとなりやすい日本語能力については、「こちらの話していることは理解できるため、仕事をするうえで大きな問題はありませんが、語彙力などの問題から、自分の言いたいことをストレートに表現できません」と、今井さんは説明します。とはいえ、祖国を離れてはるばる日本へやって来ているだけに、「同じ年齢の日本人とは、持っている『覚悟』が全く違う。日本語はすぐに上達するはずですし、仕事にもすぐ慣れるでしょう。むしろ受け入れた側の私たちもしっかりしていなければと気づかされることも多く、気を引き締めています」と、今井さんは力を込めます。

エノモトさんの目下の目標は、『3級自動車整備士』の資格を取得すること。周知のように、自動車整備専門学校や高等学校の機械科を卒業していない場合、3級自動車整備士の資格試験を受けるためには1年間の実務経験が必要となります。まずはその受験資格を満たすために、エノモトさんは日々奮闘しているところです。

今井さんは、「整備士として一人前になるまでに、最低でも5年はかかります。しっかりとした技能を身につけてもらった暁には、フロントやマネージャーとしての起用も検討したいと考えています」と、期待を寄せています。

「将来的には、弊社でも外国人整備要員の割合はどんどん増えていくでしょう。ひとくちに外国人といっても日本語能力にはばらつきがあるはずで、中には、意思疎通が難しい人もいるかもしれません。そういった外国人整備要員の通訳として、さらに後輩外国人の面倒を見るマネジメント人材としての役割をエノモトくんが担ってくれれば嬉しいと思っています」(今井さん)

人手不足が深刻化しているのは整備要員だけに限らず、営業などフロント部門においても、優秀な若手人材の採用がどんどん難しくなってきています。そうした中で、若くて勤勉、そして語学力に長けた優秀な外国人材は今後、貴重な戦力として採用ニーズが高まることは間違いありません。外国人材の獲得競争に打ち克つためには、早めの始動がカギになると言えそうです。

本メルマガでは、半年後あるいは1年後など一定期間経過後にあらためて土居自動車工業を訪ね、エノモトさんの『その後』をレポートする予定です。

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(掲載日)2021年9月15日

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